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産婦人科医が解説|子宮頸がん検診の内容と受け方(名古屋)

赤ちゃんの健診や予防接種のスケジュールはきちんと管理しているのに、自分の検診はもう何年も受けていない──。産後・育児中のお母さんから、そんな声をよく耳にします。

子宮頸がんは、20〜30代の子育て世代で増えるがんです。一方で、定期的な検診によって、がんになる前の段階で見つけられる可能性が高いがんでもあります。

この記事では、子宮頸がん検診の内容と流れ、受ける頻度、産後の再開タイミング、そして名古屋市の費用補助制度(ワンコイン検診・無料クーポン)まで、産婦人科医の視点でわかりやすく解説します。「いつか行こう」と思ったまま数年たってしまった方こそ、ぜひ読み進めてください。

育児に追われて自分の子宮頸がん検診が後回しになっているママのイメージ

子宮頸がん検診とは|なぜ20〜30代にこそ必要か

子宮頸がん検診は、子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんや、その前段階の変化(前がん病変)を早期に見つけるための検査です。「症状が出てから受ける検査」ではなく、症状のない元気なうちに受けるからこそ意味があるという点が、いちばん大切なポイントです。

子宮頸がんは若い世代で多い

国立がん研究センターのがん統計によると、日本では2023年の1年間に10,457人が子宮頸がんと診断され、2024年には2,751人が亡くなっています

多くのがんは高齢になるほど増えますが、子宮頸がんは20歳代後半から罹患が増え始め、おおむね40歳代でピークを迎えます。つまり、妊娠・出産・育児というライフイベントの時期と、がんが増える時期がちょうど重なるのです。子育て中の女性がかかることが多いことから、「マザーキラー」と呼ばれることもあります。

「まだ若いから関係ない」ではなく、若い世代だからこそ受けてほしい検診──それが子宮頸がん検診です。

HPVと子宮頸がんの関係

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因で起こります。HPVは性経験のある女性の多くが一生に一度は感染するといわれる、ごくありふれたウイルスで、感染しても多くは自分の免疫の力で自然に排除されます。

しかし一部の方では感染が続き、数年〜十数年という長い時間をかけて、前がん病変(異形成)を経てがんへと進行することがあります。進行がゆっくりで、がんになる前の段階が長いからこそ、定期的な検診でその途中の変化を見つけることができるのです。

検診の内容と流れ|痛い?時間は?

子宮頸がん検診の流れ(問診・細胞診・結果通知)を示す図解

検診当日の流れは、おおむね「問診 → 内診台へ → 視診・内診 → 細胞診」というシンプルなものです。着脱しやすいスカートなどで来院すると準備がスムーズです。

細胞診の実際|所要時間と感じ方

子宮頸がん検診の中心となる検査が「子宮頸部細胞診」です。腟から専用の細いブラシやヘラを入れ、子宮頸部の表面を軽くこすって細胞を採取します。

採取そのものにかかる時間は通常1〜2分程度で、内診台に上がってから降りるまでを含めても数分で終わることがほとんどです。

痛みの感じ方には個人差があります。器具が入るときに違和感や軽い痛み、こすられるような感覚を覚える方もいれば、ほとんど気にならなかったという方もいます。緊張して体に力が入ると違和感が強くなりやすいため、肩の力を抜いてゆっくり深呼吸するのがコツです。不安が強い方は、遠慮なく事前にスタッフへ伝えてください。また、採取後に少量の出血がみられることがありますが、通常は数日以内におさまります。

結果の見方|「ASC-US」などが出たら?

結果はおおむね2〜4週間後に通知されます(医療機関により異なります)。

  • NILM(異常なし):今回は異常を認めず、次回も定期的な検診を続けます。
  • ASC-USなどの判定:「がん」と決まったわけではありません。HPV検査や、コルポスコピー(腟拡大鏡)・組織診といった精密検査で詳しく調べましょう、という合図です。

精密検査になっても、その多くはがんではなく、前がん病変やさらに手前の変化です。大切なのは、精密検査の案内が来たら放置せず、必ず受けること。ここで足が止まってしまうと、せっかくの検診が意味を失ってしまいます。

いつ・どのくらいの頻度で受ける?

20歳以上・2年に1回が国の指針

厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」では、子宮頸がん検診は20歳以上の女性を対象に、2年に1回、細胞診で受けることとされています。なお、2024年(令和6年)4月の指針改正で、30〜60歳を対象に5年に1回の「HPV検査単独法」を導入できる仕組みも加わりました(導入状況は自治体により異なります)。

ひとつ注意していただきたいのは、検診はあくまで「症状のない方」のための仕組みだということです。不正出血、性交渉のあとの出血、おりものの変化などの症状がある方は、次の検診を待たずに、すぐに産婦人科を受診してください。その場合は検診ではなく、保険診療での検査となります。

産後はいつから?妊娠中・授乳中は?

妊娠初期の妊婦健診では、ほとんどの方が子宮頸部細胞診を受けています。母子健康手帳を確認し、妊娠中に受けて異常がなければ、そこから約2年後が次の検診の目安です。

産後の再開は、産後1か月健診で経過が順調と確認されたあとであれば可能で、授乳中でも問題なく受けられます。前回の検診から2年以上あいてしまっている方は、お子さんの予防接種や健診の予定と合わせて、ご自身の検診も早めに予約してしまうのがおすすめです。

なお、産後の月経がなかなか戻らずご心配な方は、産後の生理が再開しないのは大丈夫?授乳との関係と受診の目安もあわせてご覧ください。

名古屋市で受けるには|費用と補助

名古屋市の子宮頸がん検診の自己負担額と無料クーポン制度を示す図解

名古屋市にお住まいの方は、市のがん検診制度を使うと自己負担を抑えて受けられます。令和8年度(2026年度)の制度は次のとおりです。

  • 対象:20歳以上の女性(2年度に1回)
  • 自己負担金:500円(いわゆる「ワンコイン検診」)
  • 検査内容:問診・視診・内診・子宮頸部細胞診
  • 受け方:市内の協力医療機関に「名古屋市の子宮がん検診を希望」と直接申し込み、住所・生年月日を確認できる書類(マイナ保険証・運転免許証など)を持参

さらに、令和8年4月1日時点で20歳・25歳・30歳・35歳・40歳の方は、令和9年3月31日までの間に1回、無料で受けられます。対象の方には令和8年6月頃に無料クーポン券等が配付される予定ですが、クーポンが手元になくても、対象年齢であることが生年月日で確認できれば無料で受けられます。このほか、自己負担金が免除される制度もあります。

制度の内容や金額は年度によって変わることがあるため、受診前に名古屋市公式ウェブサイトで最新情報をご確認ください

子連れでも受診できる?忙しいママの受け方

「子どもを預けられないから行けない」──検診が後回しになるいちばんの理由かもしれません。

検査自体は短時間で終わるため、子連れで受診できる医療機関も少なくありません。ただし、ベビーカーのまま入れるか、検査の間スタッフに見守りをお願いできるか、キッズスペースがあるかどうかは医療機関によって異なります。予約の際に「子連れで受診したいのですが」と電話で相談してみてください。

そのほか、土曜日や夕方の枠を利用する、家族にお子さんを預けられる日に合わせて予約する、お子さんの予防接種と同じ週にまとめるなど、生活に組み込む工夫もおすすめです。名古屋市の検診は市内の協力医療機関で受けられるので、自宅から通いやすい場所を選べます。

よくあるご質問(FAQ)

Q. HPVワクチンを接種していれば、検診は受けなくてもいいですか?

A. いいえ、ワクチンを接種していても検診は必要です。ワクチンは子宮頸がんの原因となるHPVのうち主要な型の感染を防ぎますが、すべての型をカバーするわけではありません。「ワクチン+定期的な検診」の両方で備えることが大切です。

Q. 生理中でも受けられますか?

A. 月経中でも検査ができないわけではありませんが、経血が混ざると正確な判定が難しくなることがあります。できれば月経中、とくに量の多い日は避けるのが望ましいです。予定が重なってしまった場合は、日程変更を医療機関に相談してみてください。

Q. 出産を経験していれば痛くないですか?

A. 出産経験の有無にかかわらず、感じ方には個人差があります。経産婦の方でも緊張で力が入ると違和感が強くなることがあります。過去に検査がつらかった経験のある方は、事前にスタッフへ伝えていただければ、ペースを調整しながら進められます。

Q. 検診で「異常なし」なら安心していいですか?

A. 検診はとても有効な仕組みですが、どんな検査にも限界があり、異常を100%見つけられるわけではありません。だからこそ2年に1回、受け続けることが大切です。また、異常なしのあとでも、不正出血などの症状が出たときは、次の検診を待たずに受診してください。

まとめ:自分の検診も「家族の予定」のひとつに

子宮頸がんは20〜30代から増える、子育て世代にこそ身近ながんです。検診は数分で終わる細胞診が中心で、20歳以上・2年に1回が国の指針。名古屋市なら自己負担500円、対象年齢なら無料クーポンも利用できます。産後は1か月健診のあとから再開でき、授乳中でも受けられます。

産後の体の変化については、産後の抜け毛はいつまで?原因・ピーク・対策を産婦人科医が徹底解説でも詳しく解説しています。

お母さん自身の健康は、家族の毎日を支える土台です。お子さんの予防接種の予定を立てるついでに、ご自身の検診の予約も入れてみてください。検診のこと、症状のこと、気になることがあれば、どうぞお気軽に産婦人科へご相談ください。

当院の検診については、子宮頸がん検診のご案内をご覧ください。

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